APPROACH
仕事への考え方

結論を急がない。
事実を確認し、
選択肢を整理し、
実行した後まで考える。
企業法務では、法律上の結論が分かっていても、すぐに答えを出せないことがあります。同じ法律問題でも、会社の規模、組織の状況、取引先との關係、経営者の考え方によって、取るべき対応が変わることがあるからです。私は、案件を受けたときに、まず何が起きているのかを確認し、そのうえで選択肢を整理することを大切にしています。
01
事実と評価を分ける。
依頼者から最初に聞く説明は、案件を理解するための重要な出発点です。ただ、その説明だけで結論を出すことはしません。
契約書、議事録、メール、社內資料、関係者の説明、これまでの経緯。一つずつ確認すると、最初に想定していた構図とは違う事実が見えてくることがあります。
実務では、事実認識が一つ変わるだけで、法的評価も対応方針も変わります。だから、まず事実を確認し、その後に評価する。この順序を崩さないことを大切にしています。
02
企業の問題には、複数の対応方法があることがあります。訴訟をする、交渉を続ける、契約条件を変更する、社内制度を見直す、一定期間状況を見る。
重要なのは、「どれが正しいか」だけではありません。それぞれの方法に、どのような法的リスクがあり、どれだけ時間と費用がかかり、事業にどのような影響があるのか。比較できる状態にすることが必要です。
私は、一つの答えを決めてから説明するのではなく、選択肢を整理したうえで依頼者と検討することを重視しています。
一つの結論ではなく、選択肢をつくる。
03
実行できない正論は、解決にならない。
目の前の問題を終わらせることが、常に最良の結果になるとは限りません。その場では合理的に見える判断でも、半年後、一年後に別の問題を生むことがあります。
従業員との關係、取引先との關係、株主への説明、社内の士気、将来の事業運営。だから、「この問題をどう終わらせるか」だけではなく、「終わった後に何が残るのか」まで確認するようにしています。
法律上正しい対応でも、企業の现场で実行できなければ實際の解決にはなりません。例えば、人事制度を変更するのであれば、誰が従業員に説明するのか。契約条件を変更するのであれば、どの順序で取引先と交渉するのか。紛争を終わらせるのであれば、その後の關係をどう整理するのか。
法的な結論だけでなく、実際に誰が,いつ、どう動くのか。そこまで考えて初めて、企業法務として使える助言になると考えています。
04
今日の解決が、明日の問題にならないか。
CASE THINKING
例えば、ある従業員への対応を検討する場合。法律上可能な処分が分かったとしても、それだけで判断は終わりません。こ れまで会社が同じような事案にどのように対応してきたのか。他の従業員にどう説明するのか。その人が担当している業務にどのような影響があるのか。紛争になった場合、会社はどこまで時間と費用をかけられるのか。こうした事情によって、実際に選ぶべき対応は変わります。企業法務では、法律問題を会社の事情から切り離して考えないことが重要だと考えています。
同じ問題でも、会社によって答えは変わる。
DECISION CRITERIA
判断するときに見る5つの視点
01
LEGAL
02
FACTS
事実関係
「判断の前提となる事実が、どこまで確認できているのか。」
03
BUSINESS
事業への影響
「その対応が、取引、売上、事業継続にどのような影響を与えるのか。」
04
PEOPLE
人・組織
「従業員、役員、株主、社内の関係にどのような影響があるのか。」
05
TIME / COST
時間と費用
「必要な時間とコストが、得られる結果に見合っているのか。」
法的リスク
「法律上、どこに問題があり、どこまで許容できるのか。」
依頼者と意見が違うこともあります。
弁護士の仕事は、依頼者の考えにすべて賛成することではありません。法的なリスクが大きいと考えれば、その理由を説明します。別の方法の方がよいと考えれば、その選択肢も伝えます。長く企業と關わるためには、言いやすいことだけを伝えるのではなく、必要なときに異なる意見を伝えることも重要だと考えています。
最終的に判断するのは依頼者です。だからこそ、その判断に必要な材料はできるだけ率直に伝えるようにしています。
弁護士の役割は、リスクをゼロにすることではありません。どこにリスクがあるのかを明らかにし、そのリスクを理解したうえで企業가判断できる状態をつくることだと考えています。